このページの要点
- 業務は施策の列挙で特定し、同じ条に順位を保証しないと書く。外部対策は提案にとどめ、実行は利用者の判断とする設計もある。
- ペナルティ・アルゴリズムの変更・外部システムの変更の免責を正面から書く。
- オーナーの権限は店舗に残し、業者には必要な範囲の管理者権限だけを付与する。終了時の解除の手順を決める。
- 口コミの報酬は評価の点数を条件にせず、すべての顧客に同じ方法で依頼し、禁止行為と理由をガイドラインに書く。
結論:順位は保証せず、施策を作業として並べ、オーナーの権限は店舗に残す
SEO(検索エンジン最適化。Googleなどの検索結果で自社のページが見つかりやすくなるよう整える施策)とMEO(Googleマップでの店舗の表示を上位にするための施策)の契約は、広告運用代行よりもさらに結果が読めない仕事です。表示順位は検索エンジンの側の仕組み(アルゴリズム)で決まり、その仕組みは予告なく変わります。事務所が作成・確認したSEO・MEOの契約書・利用規約から言えることは、次の4点です。
- 業務は「上位表示の実現」ではなく、キーワードの選定、メタ情報の最適化、内部リンクの調整など、作業として列挙する。順位を保証しないことを、施策の列挙と同じ条に書く。
- 検索エンジンからのペナルティ(ガイドライン違反などを理由とする順位の引下げ)、アルゴリズムの変更、外部のシステムの変更による影響の免責を書く。
- Googleビジネスプロフィール(店舗の情報・口コミを表示する管理画面)のオーナーの権限は店舗に残し、業者には必要な範囲の管理者権限だけを付与する。終了時の解除の手順を決める。
- 口コミを依頼したり、依頼に報酬を付けたりするなら、依頼の方法と禁止行為を具体的に決める。
このページでは、Web保守にSEO・MEOのオプションが付く利用規約、MEOサービスの利用規約、Webサイト制作の契約のレビュー、パーソナルジムの口コミの報酬の設計を中心に紹介します。成果を保証しない条の全体の書き方は成果を保証しない書き方で扱います。
SEOの契約:順位を保証しない旨と施策の列挙を整えた例
Web保守を本体に、料金表で「+SEO」「+MEO」などのオプションを選べる月額サービスの利用規約は、版を重ねる中で、SEOの業務の書き方が大きく変わりました。
事務所の書類での改訂 SEOの業務の条の変化(Web保守+SEO・MEOオプションの利用規約)
業務の書き方と非保証
目的の書き方に「順位の向上」が残っていても、同じ項の中で順位を保証しないと明記し、業務は施策の列挙で特定する形にしました。
施策の範囲
被リンクの施策は、やり方によっては検索エンジンのガイドラインとの関係が問題になり得る領域です。この規約では、提案はするが実行は利用者の判断と責任、と線を引き、業者が実行しない設計にしています。
このほか、軽微な修正は月3回・1回5項目までとし、ページ構成の改変や大規模なデザインの調整は別途見積りと明記しました。規約の変更の条は、当初の「通知した時点から効力」を、効力が生じる日の1か月前までに、変更する旨と変更後の内容・効力の発生日を通知する形に改めています。月額で続くサービスの規約では、変更の手続も利用者との信頼に関わります。
反対の例として、SEO会社の規約を契約書の形に移したと見られる基本契約があります。業務を「ロボット型検索エンジンにおけるランキングの上位表示を実現する業務」と定義し、成果を保証しない条はどこにもありません。損害は「損害の全てを賠償」とされて上限がなく、発注者は利用開始後は原則として解除できない一方、SEO会社は1か月前の通知で提供を中止でき責任も負わない、という片面的な解約権でした。初期の施工とメンテナンスを分け、自動で延長されるのはメンテナンスだけ、という設計は参考になりますが、業務の定義と責任の条は、発注者・受注者のどちらから見ても紛争の種になる書き方です。
条文例SEO支援の業務と非保証(月額サービスの例)
- 当社は、利用者のWebサイトについて、次のSEO施策の支援を行う。(1)キーワードの選定 (2)タイトル・メタディスクリプションその他のメタ情報の最適化 (3)内部リンク及びサイト構造の調整 (4)表示速度その他の技術的な最適化の助言 (5)コンテンツの改善の提案(執筆は別途の契約による)
- 外部対策(被リンクの獲得、第三者メディアへの掲載その他)について当社が提案を行う場合、その実行は利用者の判断と責任により行う。
- 施策の効果には個別差があり、当社は、検索順位の上昇、アクセス数の増加その他の成果を保証しない。
事務所の書類の改訂後の内容を一般化した例です。
ペナルティ・アルゴリズムの変更・テスト環境
同じWeb保守+SEOの利用規約では、改訂で免責に「SEO対策に起因してGoogle等の検索エンジンからのペナルティを受けたり、検索順位が意図に反して低下した場合でも、当社に重大な過失がない限り、責任を負いません」を加えました。ペナルティの免責を「重大な過失がない限り」に限っているので、業者が明らかにガイドラインに反する施策をした場合まで免責されるわけではありません。
MEOサービスの利用規約は、保証しないものを細かく列挙しています。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 保証しないもの | 検索結果での表示順位の上昇又は下落、ユーザー数・売上の増減、外部リンクの設置先のサイトの内容、ページランク、掲載の連続性、関連検索ワードの表示又は削除、その他一切の事項 |
| アルゴリズムの変更 | 検索エンジンの運営・方針・アルゴリズムの変更による損害は免責 |
| 外部システムの変更(改訂で追加) | 当社が使う外部システムの変更により、サービスの変更・削除・追加が生じることがあり、その場合は内容を変更でき、責任を負わない |
| 料金の改定 | アルゴリズムの変更その他運用上の理由で提供・維持が難しくなったときは料金を増額できる。既存の契約者には契約期間の満了まで旧料金 |
Webサイト制作者(受注者)の依頼による契約書のレビューでは、原案の「基本的な検索エンジン最適化(SEO)に関する設定」に成果非保証がない点に加えて、アルゴリズムの変更が「第三者が提供するサービスの障害、仕様変更」に読み込めるかは微妙なので、正面から書くよう求めました(最終版の構成は成果を保証しない書き方で紹介しています)。同じレビューでは、公開前のテスト環境について、URLを秘匿すること、noindex(検索エンジンに登録させない設定)にすること、公開前の情報を保護することの定めがないとも指摘しています。報告書の言葉では、未完成のサイトが検索エンジンに登録されてしまう事故は実際に起きるからです。SEOの評価は一度登録された内容にも影響されるので、テスト環境の扱いは、SEOの契約の一部として考えます。
SEOを請け負わないことを書く契約もあります。既存のホームページの管理とInstagramの更新管理を受ける個人の契約では、新規の制作、全面的なデザインの変更、システムの開発、セキュリティ対策、SEO対策は、発注者が契約する制作会社その他の専門の事業者が担当し、受注者は当然には実施しないと定め、保守の対象外の業務に「SEO施策の実施」と「アクセス解析レポートの作成」を入れました。成果非保証の条では、フォロワー数や問合せ件数と並べて検索順位とSEOの効果を保証しないとし、検索エンジンの事業者の仕様変更による影響にも責任を負わないと書いています。HP制作と継続保守の個人の受注者の契約でも、検索順位の上昇・アクセス数の増加・売上の向上を保証しないと定め、Webサイトの改善やSEOの助言を含むマーケティング支援の月額契約では、SEOを「助言」にとどめています。
SEO記事の制作・投稿代行で決めること
記事を作って投稿するSEOの契約では、何を何本、どこに、いつまでに出すかと、終わったことをどう確かめるかが論点です。医療法人のSEO記事の制作・投稿代行の契約のレビューでは、次の点を指摘しました。
SEO記事の契約のレビューで求めたこと
- 「月5本の間隔で記事を投稿」は不明確なので、「毎月5本のペースで、甲の指定するドメインに投稿」とする。
- 「検索エンジン最適化の対策等」の「等」をやめ、タイトル・キーワードの設計、メタタグの最適化、構造化マークアップなど施策を明示する。
- 月次レポートの提出期限(例:翌月の第1営業日)と内容(流入の推移、CVの状況、改善の提案など)を明記する。
- Googleアナリティクス・Search Consoleの権限のレベル(編集者・閲覧者・所有者など)と、終了時の解除義務を定める。
- 納品=発注者のサイトへの投稿なのに検収の手続がないので、5営業日のみなし検収、無償のリライトは1回まで、「投稿完了と発注者の承認(又はみなし承認)で履行完了」とする。
- 受注者の実績の掲載は、アクセス解析のデータに訪問者の行動やIPアドレスなどが含まれ得るため、発注者の事前の書面同意を条件に、統計的な情報に限る。
このレビューでは、記事の納品(請負的)と、投稿・月次レポート(準委任的)が混在していることも取り上げ、サービスごとに型を明示するよう求めています。記事は「納める」、レポートは「続ける」仕事なので、検収の手続も責任の範囲も分けて書く必要があります。医療機関の記事では医療広告の規制も関わるため、内容の監修の分担は広告表示の責任分担で扱っています。
MEOとGoogleビジネスプロフィールの権限
MEOの施策は、店舗のGoogleビジネスプロフィールの中で行います。MEOサービスの利用規約は、申込みの時に、契約者が持つプロフィールの「管理者権限を、本サービスの実施に必要な範囲で当社に付与し、自己と共同で利用することに合意する」と定め、オーナーの権限は契約者に残して管理者の権限だけを共同で使う構造をとっています。契約の終了時は、契約者が「自己の責任において」業者に付与した管理者権限を解除します。
この規約には、MEOに特有の排他の条もあります。契約期間中、契約者は業者以外の第三者にプロフィールの管理者権限を付与してはならず、類似のサービスの利用契約も結んではならない、というものです。複数の業者が同じプロフィールを同時に触ると、施策の効果も責任の所在も分からなくなるという事情に対応した条ですが、契約者から見ると、期間中は他の業者に乗り換えられないことを意味します。この規約は契約期間1年で、期間中は契約者から解除できず、中途解約には残期間の料金を違約金として払う定めなので、排他の条と合わせて、申込みの前に確かめておきたい点です(契約期間と中途解約)。
Googleビジネスプロフィールの権限の置き方
MEO業者の利用規約
管理者権限の共同利用
- オーナーの権限は契約者
- 業者には実施に必要な範囲の管理者権限
- 期間中は他の第三者に管理者権限を付与しない
- 終了時の解除は契約者の責任
店舗の運営会社と担当者の契約
会社の名義・会社のオーナー権限
- アカウントは会社の名義
- 所有者・管理者の権限は会社
- 担当者には必要な範囲の利用権限だけを付与し、終了日に削除
- パスワード等の設定の変更は禁止
店舗の運営会社の側の例は、パーソナルジムの運営会社がトレーナーと結ぶ業務委託契約です。レビューで、店舗のInstagramとGoogleビジネスプロフィールの名義・オーナーの権限・ログイン情報の定めがないことを指摘し、修正版でアカウントの条を置きました。業者の規約と店舗の契約のどちらでも、オーナーの権限を店舗の側に残すことが出発点で、違いは、終了時に権限を外す手続を誰が行うかにあります。業者の規約が解除を契約者の責任とするなら、契約者は終了の時に自分で外すことを忘れないよう運用する必要があります(アカウント全般は広告アカウントの名義と終了時の引継ぎ)。
口コミの依頼と報酬:依頼の方法と禁止行為を決める
MEOでは口コミの数や評価が気にされるため、店舗が顧客に口コミを依頼したり、担当者に依頼の報酬を払ったりする場面があります。2023年10月に施行されたステマ告示では、事業者が関与した表示なのに一般の消費者にはそれが分からないものが規制の対象となり、2024年6月には、医療機関が、来院者にGoogleマップの口コミ欄で星5又は星4の投稿をすることを条件にワクチン接種の費用を割り引くと伝えていた事案で、投稿された口コミがこの告示に該当するとして措置命令が出ています。
パーソナルジムの運営会社(委託者)の依頼で、トレーナーとの業務委託契約と業務ガイドラインをレビューした案件では、依頼者の原案に、Googleの口コミ1件ごとに定額をトレーナーに払う定めがありました。原案にも、高評価の指定、投稿の強制、代筆、架空・虚偽の投稿、利益の提供と引換えの依頼の禁止は入っていましたが、トレーナーが日ごろ参照するガイドラインには、依頼の方法の基準がありませんでした。報告書では、次の点を指摘しています。
- トレーナー本人・家族・知人の投稿を報酬の対象から外し、禁止する。事業者の側の立場にある者の投稿は、内容が真実でも事業者の表示と評価され得るため(ステマ告示の運用基準)。
- 顧客への依頼は中立的なものにとどめ、高評価が見込まれる顧客だけを選んで依頼しないなど、依頼の方法をガイドラインで具体的に定める。
- Googleマップの禁止コンテンツのポリシーは、投稿と引換えのインセンティブ、肯定的な口コミだけを選んで募ること、雇用・契約関係などの利益相反に基づく投稿を禁じている。トレーナーが報酬の一部を顧客に還元すれば、ポリシーに反し、事業者の表示と評価されるおそれもある。
- ポリシー違反で削除された口コミの報酬をどうするか(返還させるか)が決まっていない。
| 項目 | 定め |
|---|---|
| 報酬の対象 | 新たな口コミが投稿され、会社が確認したら1件ごとに定額。星だけの投稿も対象で、評価の点数は条件にしない |
| 依頼の方法 | ガイドラインの方法で、すべての顧客に同じ方法で、評価の内容を指定せずに依頼する |
| 禁止行為 | 高評価の依頼、高評価が見込まれる顧客に限った依頼、強制、代筆、架空・虚偽の投稿、割引その他の利益と引換えの依頼、本人・家族・知人の投稿。報酬の全部又は一部を顧客に分けること |
| 対象外・返還 | 同じ顧客の削除・再投稿や、支払前にGoogleによって削除されたものは対象外。支払後に削除されても、禁止行為に違反した口コミを除き返還を求めない |
| ガイドラインの理由の付記 | 禁止行為はステルスマーケティングの規制やGoogleの口コミのポリシーに違反するおそれがあり、口コミが削除される原因にもなる、と理由を書く |
報酬の条件から評価の点数を外し、すべての顧客に同じ方法で依頼する、と決めたのが設計の要点です。点数を条件にすると、担当者は高評価をお願いしたくなり、それが告示やポリシーとの関係で問題を生みます。規則を守る理由をガイドラインに書いておくと、現場の担当者が「なぜだめなのか」を理解したうえで運用できます。
口コミの収集を業者が支援するサービスの規約でも、同じ論点があります。あるMEOサービスの利用規約は、上位のプランに「口コミ収集用アンケートサイト」を含めていますが、口コミの依頼の方法や対価の提供・代筆の禁止を定めた条項は置いていません。アンケートの結果をもとにAIで自動生成した口コミ情報を提供し、SEOとMEOによる集客の効果を高めることを目的とする別のサービスの利用規約でも、生成した文面をどこに誰の名義で投稿するのか、投稿者本人の確認や同意は、条文では扱われていません。口コミの収集や文面の作成に業者が関わるなら、店舗の側の依頼の方法、投稿するのは顧客本人であること、対価と引換えの依頼や代筆をしないことを、規約か利用者向けのガイドラインで決めておく必要があります。
起きがちなことと、契約書での備え
SEO・MEOの契約も、期間・解約の条と一体で読みます。契約期間と中途解約、業務の範囲の書き方は契約の型と業務範囲もご覧ください。
よくあるご質問
SEO・MEOの契約に「順位を保証しない」と書くのは当然ですか?
当然に入れるべき定めです。表示順位は検索エンジンの仕組みで決まり、予告なく変わるためです。事務所の書類でも、当初の案になかった順位の非保証を、施策の列挙と同じ条に加えた例があります。
Googleのペナルティで順位が落ちたら、業者の責任ですか?
契約しだいです。事務所の書類では、SEO対策に起因するペナルティや順位の低下について、業者に重大な過失がない限り責任を負わないとした例があります。明らかにガイドラインに反する施策をした場合まで免責されるわけではありません。
Googleビジネスプロフィールの権限は、業者に渡してよいですか?
オーナーの権限は店舗に残し、業者には必要な範囲の管理者権限だけを付与するのが基本です。終了時に誰が権限を解除するかも決めておきます。期間中は他の業者に権限を付与しないとする規約もあるので、申込み前に確認します。
口コミを依頼して担当者に報酬を払う仕組みは問題ですか?
設計しだいで、ステマ告示やGoogleのポリシーとの関係が問題になり得ます。事務所の修正版では、評価の点数を報酬の条件にせず、すべての顧客に同じ方法で依頼すること、本人・家族・知人の投稿や利益と引換えの依頼を禁じることなどを定めました。
SEO記事の代行契約で、検収はどう決めればよいですか?
記事の投稿で納品となる契約では、一定の営業日のみなし検収、無償のリライトの回数、投稿の完了と承認で履行が完了することを定めます。月次レポートの期限と内容、アクセス解析の権限のレベルも書いておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきた広告運用代行・Web集客支援・マーケティング支援の業務委託契約書、MEO・SEOサービスの利用規約、テレアポ・アポ獲得代行・営業代行の契約書、レビュー報告書、ヒヤリングシートなどを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月16日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 表示対策(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)